
このたび、当事務所はAsian Legal Business(ALB)主催の「ALB Japan In-House Legal Summit 2026」に協賛いたします。
服部真吾 – 服部法律事務所Tel: +81 3 6447 5586 日本には労働に関する様々な法律がありますが、労働基準法はその基本となる法律です。日本の労働基準法は、日本国憲法第27条第2項「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」を根拠としています。労働基準法は、経済的観点から労働者を保護するため、労働条件の最低基準を定めています。 労働基準法第1条第1項は、その原則を「労働条件は、労働者が人間らしい生活を送るために満たすべき必要を満たす条件でなければならない」と規定しています。 労働基準法は労働者の平等な取扱いを規定しています。使用者は、賃金、労働時間その他の労働条件について、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として差別的取扱いをしてはなりません(労働基準法3条)。これは特に珍しい規定ではありませんが、特に外国人雇用主にとっては、その労働文化が多様化する傾向にあるため、この点に留意する必要があります。そしてもちろん、男女同一賃金の原則についても同様です(労働基準法4条)。 労働基準法は強制力のある法律です。これは、労働契約で異なる労働条件を定めていても、すべての使用者がこの法律に従わなければならないことを意味します。実務上、厚生労働省の労働基準監督署が雇用者を監督する権限を有します。厚生労働省は全国に321の労働基準監督署を設置しており、非常に活発に活動しています。 労働基準法には罰則が定められています。使用者が同法に違反した場合、罰則が科される可能性があります。 ・労働基準法の内容 主に賃金、労働時間、休憩、休日、年次有給休暇といった労働条件を規定しており、外国人雇用主にとっても認識しておくべき事項です。 賃金に関しては、使用者は最低賃金法で定められた最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。最低賃金は都道府県によって異なり、毎年改定されます。参考までに、2025年10月3日現在の東京都の最低賃金は時間当たり1,226円です。これは7.83米ドル(1米ドル=156.58円換算)に相当します。 労働時間については、休憩時間を除き、週40時間を超えて労働させてはなりません(同法32条1項)。週40時間を超える労働を希望する場合、使用者は「36条協定」を締結し、割増賃金を支払う必要があります。基本事項は以下の通りです。 休憩時間については、同法で「労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければならない」と規定されています(同法34条1項)。 同法は休日及び年次有給休暇の詳細な最低条件についても規定しています。 ・監督機関 労働基準監督署は労働基準法に基づき、使用者への監督権限を有します。労働基準監督署は多数存在し、東京だけでも19ヶ所あります。監督当局が介入した場合、使用者は罰則回避のため細心の注意を払う必要があります。 グローバルな使用者としては、各国で労働規制が異なることにしっかりと対処しなければなりません。特に危機管理段階では、全ての規制を確認し、労働者からのクレームの可能性を検討し、それらを全ての規制に従って適切に対処する必要があります。 弁護士 服部 真吾 第二東京弁護士会 服部法律事務所 +81 3 6447 5586 免責事項:本記事は本記事作成時点での一般的な情報を提供するものであり、法的助言を提供するものではありません。具体的なアドバイスには、取引文書や事実関係の確認が必要です。
【募集職種】 弁護士(日本又は他の国での弁護士資格要:外国法事務弁護士の登録要件を満たすこと ) 【業務内容】 企業法務・クロスボーダー取引や国際法務の取り扱いがほとんどです。その中で、ご希望や個々人の得意領域にあわせて幅広い法務関連業務を担当していただく予定です。 【語学スキル】 英語(ネイティブレベル) 【勤務形態】 正社員 【勤務時間】 9:30〜17:30(休憩1時間) ※フレックス・在宅勤務・時短勤務相談可 【勤務地】 東京都港区六本木6-2-31六本木ヒルズノースタワー3階 【給与】 ご経験や前職給与をもとに、相談の上決定いたします。 【福利厚生】 ・交通費支給 ・定期健康診断費用負担(勤務時間内受診可) ・インフルエンザ予防接種費用負担(勤務時間内受診可) ・各種研修・資格試験の事務所負担あり ・ヒルズベネフィット 【休日・休暇】 土日祝日、年末年始休暇(12/28~1/3)年次有給休暇、傷病休暇(年5日)、慶弔休暇 【応募方法】 履歴書(写真付)、職務経歴書をメールにてご送付ください。 送付先:contactus@hrtlawfirm.com 【選考フロー】 書類選考 → 面接(2〜3回) → 内定 【お問い合わせ】 服部法律事務所 TEL:03-6447-5586 その他ご不明点などございましたら、contactus@hrtlawfirm.comまでご連絡ください。
服部真吾 – 服部法律事務所Tel: +81 3 6447 5586 日本の外国為替及び外国貿易法(FEFTA)は、外国投資家に報告義務を課しています。わずかな株式取得でも届出が必要となる場合があり、例えば上場企業の株式をわずか1%取得するだけで事前届出が義務付けられています。特定の産業(防衛、エネルギー及びハイテクなど)への外国投資には政府の事前承認が義務付けられ、非居住者が土地を購入した場合は取引完了後45日以内の事後届出が必要となります。 2022年施行の「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(REIRA)」は、場所に基づく審査を追加しました。指定施設(自衛隊基地、発電所など)から約1,000メートル圏内の不動産購入は、事前に内閣総理大臣に報告しなければならなくなりました。 違反した場合、是正命令や罰則の対象となり、国家安全保障に関わる場合は取引が解除される可能性があります。したがって、デューデリジェンスでは、対象企業の事業拠点や不動産の所在地がFEFTAまたは上記法律の「注視区域」等に該当しないか確認すべきでしょう。 よくある質問(FAQ) 弁護士 服部 真吾 第二東京弁護士会 服部法律事務所 +81 3 6447 5586 免責事項:本記事は本記事作成時点での一般的な情報を提供するものであり、法的助言を提供するものではありません。具体的なアドバイスには、取引文書や事実関係の確認が必要です。
服部真吾 – 服部法律事務所Tel: +81 3 6447 5586 日本企業との国際取引を成功させるには、契約上の約束を明確にすることや文化的マナーへ配慮することの両方が不可欠です。当事者は事前に議題を準備し、形式を尊重すべきです。例えば、日本側は書面による会議の議題を事前に提供することや、両手を使って丁寧に名刺交換することを高く評価します。契約書は日本の形式要件を遵守する必要があります。多くの日本企業は、重要な契約には署名ではなく正式な社印(「印鑑」)で締結し、この押印には署名と同様に扱われます。法律実務家は、契約上の言語や裁判管轄の問題についても計画すべきでしょう。日本の仲裁法はUNCITRALのモデルに沿っており、合意された言語での仲裁と任意の仲裁人の選任が可能です。一方で、日本での訴訟は日本語での手続きが必須であり、証拠の翻訳が必要となります。日本企業は社内の様々な部署での合意形成を必要とする場合が多いため、交渉には時間がかかる場合があります。そのような場合への対応には、時間がかかることを十分に認識し、かつ意思決定プロセスを明確にすることが重要となります。グローバル企業は、その準備として初期段階で秘密保持契約や覚書を交わすと情報開示等がスムースになります。 弁護士 服部 真吾 第二東京弁護士会 服部法律事務所 +81 3 6447 5586 免責事項:本記事は本記事作成時点での一般的な情報を提供するものであり、法的助言を提供するものではありません。具体的なアドバイスには、取引文書や事実関係の確認が必要です。
服部真吾 – 服部法律事務所Tel: +81 3 6447 5586 日本のホスピタリティ業界は外国投資家に一般に開放されています。ホテルやレストランに対する国籍に基づく所有者制限はありません。ただし、宿泊施設の運営には行政からの許可が必要となります。旅館業法の下、対価を得て宿泊サービスを提供する施設は、いずれも所管の保健所からホテル営業または旅館営業の許可を取得しなければなりません。これらの基準には安全性、衛生管理及び必要な人員配置に関する要件が含まれます。「民泊」は2018年施行の住宅宿泊事業法の適用を受け、事業者(ホスト)は当該物件を所管行政庁に登録し、年間の営業日数(通常180日)に制限が課されています。 飲食業を営む場合には食品衛生法に基づく食品衛生許可が必要となり、施設内での酒類を提供する場合には酒類提供に関する許可を取得しなければなりません。また、労働基準法等による労働規制や税金等も適用されます。総じて、外国投資家は自由に市場参入できますが、必要な営業許可を全て取得し、日本のホスピタリティ業界特有の規制・慣行を遵守することが求められます。 よくある質問(FQA) 弁護士 服部 真吾 第二東京弁護士会 服部法律事務所 +81 3 6447 5586 免責事項:本記事は本記事作成時点での一般的な情報を提供するものであり、法的助言を提供するものではありません。具体的なアドバイスには、取引文書や事実関係の確認が必要です。
服部真吾 – 服部法律事務所Tel: +81 3 6447 5586 日本の土地の用途に関する法律は厳格である。都市計画法は土地を13種類の「用途地域」(住宅、商業、工業など)に区分し、許容される用途と建築物の規模を厳しく規制しています。開発業者は、計画している利用目的(ホテル、オフィス、小売店など)が当該用途地域で許可されていること、また容積率と建ぺい率が国と自治体等の双方のルールに適合していることを確認しなければなりません。用途地域規制に反する建築物は地方自治体により改修命令や除却命令を受ける可能性があります。また、環境デューデリジェンスは極めて重要です。土壌汚染対策法に基づき、土地の購入者は当該土地における既存の汚染について一切の責任を承継するからです。古い建物にはアスベスト(2006年9月1日以降禁止)が含まれることが多く、最近の法令により、解体または改修工事の前にアスベスト調査を実施することが義務付けられています。投資家はフェーズI/IIの環境調査報告書と建物構造の評価報告書を取得するべきです。日本には外国人による不動産購入に対する包括的な規制はありませんが、国家安全保障に関連する法律により、土地が防衛関係施設等の近くにある場合や離島等の機能を阻害する用途に用いられる場合には、当該地域は注視区域等に指定されることとなっており、その地域内での土地の取得をする場合には、取得前に届出が必要となる場合があります。また、そういった地域でない場合であるかどうかにかかわらず、必要な建築許可及び防火関連の許認可の取得は必須であり、耐震基準適合性の確認(1981年以降施行の 新耐震基準)も重要です。 よくある質問 FAQs 弁護士 服部 真吾 第二東京弁護士会 服部法律事務所 +81 3 6447 5586 免責事項:本記事は本記事作成時点での一般的な情報を提供するものであり、法的助言を提供するものではありません。具体的なアドバイスには、取引文書や事実関係の確認が必要です。
服部真吾 – 服部法律事務所Tel: +81 3 6447 5586 日本の法制度や実務慣行では、近年ますます、しっかりとしたコンプライアンス体制とクライシス・マネジメントの整備が重視されるようになっています。 日本のコーポレートガバナンス・コードの原則2-5では以下のように規定しています。 「上場会社は、その従業員等が、不利益を被る危険を懸念することなく、違法または不適切な行為・情報開示に関する情報や真摯な疑念を伝えることができるよう、また、伝えられた情報や疑念が客観的に検証され適切に活用されるよう、内部通報に係る適切な体制整備を行うべきである。取締役会は、こうした体制整備を実現する責務を負うとともに、その運用状況を監督すべきである。」 また、同コードの補足原則では、以下のように規定しています。 「2-5① 上場会社は、上場会社は、内部通報に係る体制整備の一環として、経営陣から独立した窓口の設置(例えば、社外取締役と監査役による合議体を窓口とする等)を行うべきであり、また、情報提供者の秘匿と不利益取扱の禁止に関する規律を整備すべきである。」 内部通報の枠組みに明確な基準はないものの、2024年には数千人規模の従業員を抱える大企業を追い詰め、経営陣を窮地に陥れた内部通報事例が起こりました。この種の事例にはメディア報道など様々な側面がありますが、企業にとって内部通報制度の一定の仕組みの準備や実施が必要であることを示しています。 公益通報者保護法の改正により、告発者保護が強化されました。従業員300人以上の企業が法令違反を行い、行政の命令に従わない場合、刑事罰が科されます。また同法第16条第1項に基づき、行政官が帳簿・書類等の検査のため事務所に立ち入る権限を規定しています。 内部告発を理由に従業員を解雇・懲戒処分した個人に対しては、新たな直接罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金、またはその両方)が設けられました。企業に対する法定罰則は、法第21条・23条に基づき3,000万円以下の罰金が科される可能性があります。 外国企業が刑事罰を受ける場合、日本国内における企業評価に重大な影響を及ぼし、さらに、日本でのレピュテーションが低下することによって、グローバル市場でも企業の信頼性を揺るがす可能性があります。 この公益通報者保護法改正は2025年6月4日に公布され、2026年末頃に施行される予定です。 よくある質問(FAQ) Q1: どのような内部統制が必要ですか? 日本には統一的な「コンプライアンス法」は存在しませんが、上場企業はコーポレートガバナンス・コード(ESGや企業倫理を統合的に扱う基準)および金融商品取引法(内部統制報告書の提出を義務付ける)を遵守する必要があります。全ての企業に対し、行動規範の策定と内部通報窓口の設置が推奨されています。 Q2: 内部通報者はどのように保護されますか? 改正された公益通報者保護法は報復行為を禁止し、従業員・役員・外部委託者(請負契約者等)が恐れずに不正行為を通報できるよう保護の対象になります。通報を妨害した者は刑事罰の対象となります。 Q3: コンプライアンス違反の結果は? 金融関連法令や会社法違反(証券詐欺、インサイダー取引など)は行政罰金や刑事訴追を受ける可能性があります。規制対象業界におけるコンプライアンス違反(環境汚染など)では、企業は業務停止命令や営業停止処分を受ける可能性があります。証券取引所や監督当局が自主的な是正措置や事業再構築を要求する場合もあります。 Q4: 危機管理は法的に義務付けられているか? 明確には義務付けられていませんが、コーポレートガバナンス・コードの原則2-3では、危機管理計画(災害対策や人権問題を含む)を長期的な価値と結びつけています。 「【原則2-3.社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題】上場会社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題について、適切な対応を行うべきである。」 「補足原則 2-3① 取締役会は、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討を深めるべきである。」 特に金融業界や医療分野においては、正式に危機管理委員会を設置する等、事業継続計画(BCP)ガイドラインの遵守がますます求められています。 このような制度を検討されている場合は、貴社の状況に合わせた法的サポートをご提供いたしますので、ぜひ当事務所までご相談ください。 弁護士 服部 真吾 第二東京弁護士会 服部法律事務所 +81 3 6447 5586 免責事項:本記事は一般的な情報を提供するものであり、法的助言を提供するものではありません。具体的なアドバイスには、取引文書や事実関係の確認が必要です
このたび、東京の首相官邸近くにあるキャピトルホテル東急で開催された第四回日本ホテル業界カンファレンス2025「日本ホテル収益サミット(#HRSJ)」において、「AI・IoT・デジタルツインが再定義するホスピタリティの未来」と題した討論に、光栄にもパネリストとして登壇いたしました。 モデレーターはベンチャーキャピタル分野に精通したイマーム・ハビブ氏。パネリストはAI分野の砂川祐介氏、ホテル運営システム分野の秦東樹氏、そして法分野の私が参加し、AI時代におけるホテル収益管理の今後について議論いたしました。法規制や法律の仕組みを理解している立場から、AI・IoT・システムエンジニアリングといった最先端分野の動向に触れることは非常に有意義であり、私自身大変楽しませていただきました。本セッションにご参加くださった皆さま、登壇者の方々、そして主催者であるホスピタリティ・ジャパン・カンファレンスの関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。 服部真吾 服部法律事務所
服部真吾 – 服部法律事務所Tel: +81 3 6447 5586 – [VCardダウンロード] 日本の製造業者を対象とするクロスボーダーM&Aは、先端技術への戦略的アクセス、強固なサプライチェーン体制、高品質な製造能力を獲得する手段となっています。しかし、日本におけるM&A取引には、厳格な手続き遵守と慎重な対応が不可欠です。日本特有の企業慣行、開示基準、業種別規制は、英米法市場とは異なる形で取引リスクを生じさせます。本稿では、実務家の立場から、実践的なロードマップ(NDA→デューデリジェンス→バリュエーション→LOI/MOU→SPA/JV→クロージング&統合)を提示し、留意点をご説明します。 事前段階:目的と規制要件の明確化 取引を始めるにあたっては、まず明確な取引方針を定める必要があります。具体的には、商業的な目的(完全支配権の取得、戦略的少数出資、または合弁)、目標とする企業価値評価の範囲、受け入れ可能な負債範囲、そして初期的な規制上の仮説を定義することが重要です。その仮説とは、対象会社が規制対象業種または外為法(FEFTA)に敏感な分野(たとえば先端製造業、防衛関連分野、その他特定業種)に該当するかどうかという点です。早い段階で、所管する関係省庁や届出義務の有無を整理しておくことが、取引のタイミングやスキームの設計を検討する上で役に立ちます。この段階で、現地の事情に通じた日本と海外の両文化を理解する弁護士を起用することが望ましいでしょう。 秘密保持契約(NDA)と管理された情報交換 実質的な情報を共有する前に、堅固で英日併記の秘密保持契約(Non-Disclosure Agreement, NDA)を締結することが必要です。 秘密保持契約(NDA)には、次のような事項を盛り込むとよいでしょう: また、交渉過程では英語版と日本語版の双方の文書が併用されることが多いため、どちらの言語版が優先されるかを明確に定め、将来的に紛争が生じた場合に備えて、正式な翻訳の作成を規定しておくとよいでしょう。 デューデリジェンス:企業価値および許認可(クリアランス)に影響を与えるリスクの優先 日本におけるデューデリジェンスは、一般的な分類(項目)に沿って行われますが、日本特有の実務慣行への配慮が必要です: コーポレート&ガバナンス最初のステップは、会社設立書類、取締役会議事録、株主名簿を入手することです。なお、日本では、株主名簿は一部の外国のように登記所(法務局)で公開されるものではありません。株主名簿は会社内部で管理されており、株主総会や法定提出書類など特定の目的に応じてのみ作成・提出されます。そのため、認証済み写しを取得するための手続や、機微な登録情報を閲覧するための追加的な確認手続が必要になることを想定しておくとよいでしょう。 財務デューデリジェンス監査済み財務諸表、税務申告書、経営管理資料、貸借対照表に記載されていない負債、そして過去の運転資本の推移を確認する必要があります。日本の会計報告の形式や表示方法は自社基準と異なる場合があるため、自社の報告基準とを比較することが望ましいです。 規制・許認可すべての業界の許認可を確認する必要があり、また、支配権の変更に際してそれらの許認可が維持可能かどうかも確認する必要があります。対象会社の事業活動が外為法(FEFTA)の審査対象分野または業種別の許認可制度に該当する場合には、関連する届出・申請手続の要否を事前に検討することが重要です。投資によっては事前の許認可が必要なものもありますが、多くは事後的な届出が必要です。ただし、制裁対象国・指定業種に該当する場合などには例外が適用されます。また、規制当局との非公式な事前協議を早期に実施することは有効です。 商業契約とサプライチェーン主要なサプライヤーや顧客との契約解除の引き金となり得る支配権変更条項を特定する必要があります。また、緊密に統合された日本のサプライチェーンでは、取引の継続に関する条項はビジネス上極めて重要です。 雇用と労働日本の労働慣行は従業員に対して強力な保護を与えており、自主的な解雇や雇い止めは法的リスクや風評リスクを伴います。退職金や永年勤続従業員に関する労働協約や慣習を見直す必要があります。 知的財産、環境、不動産日本国内での特許・商標登録、ならびに事業所ごとの環境関連許認可や土壌汚染等に関する措置の履歴を確認することが必要です。また、自衛隊施設等に近接する不動産については、最近施行された法律に基づき、特別な報告義務が課される場合があります。 評価と取引構造 デューデリジェンスの結果をみて、企業価値の調整やスキームの選択を行います。株式譲渡の場合、既存の契約関係や許認可を維持できる一方で、対象会社の過去の負債も引き継ぎます。これに対し、事業譲渡は、対象会社の過去の債務を引き継がないという利点があるものの、再許認可や関係者の同意が必要となる場合があります。ジョイントベンチャー構造は、現地パートナーの専門性が重要な場合や、規制上の制約が大きい場合に最適な手法となり得ます。また、特定のリスク(上限額や免責範囲、存続期間)に応じて、エスクローやホールドバック、補償条項などの仕組みを組み込み、を明確に設定しておくことが望ましいです。特に規制業種の製造業者を対象とする取引では、必要な許認可取得を条件とするクロージング条項を契約に含めておくとよいでしょう。 LOI/MOU:拘束力のあるものとないもの Letter of Intent(LOI, 基本合意書)または Memorandum of Understanding(MOU, 覚書)を発行する際には、拘束力のある商業条件(独占交渉権、手続に適用される準拠法、秘密保持、違約金など)と、拘束力を持たない条件(想定価格、ガバナンスに関する一般的提案など)を明確に区別することが望ましいでしょう。日本では、LOI は相手方に対して取引への本気度(コミットメント)を示す重要な役割を果たすことが多いが、「誠実に交渉する」(good faith) などのあいまいな条項を安易に盛り込むことは避けるべきです。そうした文言があると、重要な義務の範囲が不明確なまま拘束力が争点となるリスクがあります。 契約:株式譲渡契約書(SPA)/株主間契約書/合弁契約書(JV関連文書) 株式売買契約書(Share Purchase Agreement, SPA)や株主間契約書を作成する際には、以下の点を重視することが重要です: 契約書は日英両言語で作成し、どちらの言語版が正式な正文であるかを明記することが重要です。特に日本法を準拠法とする場合は、翻訳上のリスクを低減するため、正式な日本語版を正文として作成することが望ましいでしょう。 クロージング、ファイリング、クロージング後の統合 クロージング時には、株式の移転、エスクローの実行、必要な登記簿の更新など、さまざまな手続が発生します。また、取引完了後の届出(たとえば、該当する場合の外為法に基づく事後報告など)を行う必要があり、さらに一定の基準を超える場合には独占禁止法上の届出(競争法関連届出)にも備える必要があります。クロージング後は、統合作業(インテグレーション)を優先することが重要です。具体的には、生産の継続性の確保、サプライヤーとの連絡・調整、従業員への説明(日本の慣習や期待に配慮した内容)、および規制当局へのフォローアップ対応などを、適時適切に実施する必要があります。 Also Read: 【ご報告】「第四回日本ホテル業界カンファレンス2025日本ホテル収益サミット(#HRSJ)」登壇のお知らせ 実務的配慮 日本での交渉は、複数回のやり取りと合意形成を重ねながら進展することが多いです。現地の代表者やバイリンガルの弁護士を活用することで、関係者間の調整を円滑に進め、誤解を防ぎ、取引完了後も長く価値を持つビジネス関係を維持することができます。 よくある質問 日本の製造業者の買収は、実行可能ではありますが、細やかな対応を要するプロジェクトです。成功の鍵は、初期段階での規制当局の把握、慎重かつ体系的なデューデリジェンス、日本の実務に適合した正確な契約書作成、そして関係者との間における敬意をもった関係構築にあります。このような取引を検討されている場合は、貴社の状況に合わせた法的サポートをご提供いたしますので、ぜひ当事務所までご相談ください。 弁護士 服部 真吾 第二東京弁護士会 服部法律事務所 +81 3 6447 5586 – [VCardダウンロード] 免責事項:本記事は一般的な情報を提供するものであり、法的助言を提供するものではありません。具体的なアドバイスには、取引文書や事実関係の確認が必要です。
このたび、当事務所は「ALB Asia Who’s Who 2025」に掲載されましたことをご報告申し上げます。 「ALB Asia Who’s Who」は、アジア太平洋地域の法律業界における優れた専門家や法律事務所を選出・紹介する権威ある名鑑です。2025年版において、当事務所の取り組みと実績が評価され、掲載の栄誉を賜りました。 これもひとえに皆様のご支援とご信頼の賜物と深く感謝申し上げます。今後とも一層の努力を重ね、より良いリーガルサービスの提供に努めてまいります。 引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。 服部法律事務所
このたび、当事務所は、アジア・リーガル・ビジネス(Asian Legal Business)主催の「ALB Japan Law Awards 2025」におきまして、Rising Law Firm of the Year部門のファイナリストに選出されましたことをご報告申し上げます。 本アワードは、日本国内外の法律専門家および法律事務所による卓越した業績や貢献を表彰するものとして、広く知られております。このような栄誉ある賞において、ファイナリストとしてご評価いただけたことは、ひとえにクライアントの皆様のご支援とご信頼のそして法曹界の皆様に支えていただきましたおかげと深く感謝申し上げます。 今後とも、より一層の専門性とサービス品質の向上に努めてまいりますので、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。 服部法律事務所